パリバイイング最終日

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パリバイイングも最終日になりました。

▼朝はいつものカフェで、クロワッサンとコーヒーを頂きます。日本での日常の朝はいつもバタバタで一日が始まりますが、
パリの朝はとても気持ちが良くて、
こんな朝をいつも迎えられるようにと思いも募ります。

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▼今日はニットケープの下は、ドリスヴァンノッテンの秋冬タイガープリントを着ています。


今からオスカーデラレンタです。

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▼オスカーデラレンタのショールーム前も紅葉が始まってました。

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▼2017春夏オスカーデラレンタは、デザイナーのピーターコッピングが抜けたことで、
チーム全員が再結束し歴史ある60年を迎えるオスカー氏へのオマージュを回顧したコレクション。


それは原点に戻るという意味で、全身純白のスタイリングでコレクションがスタートしました。

オスカー氏が好きだったというペーズリー柄、ジガード、朱赤が登場。


NYを始め世界のセレブリティに向けての豪華で華やかなコレクションでした。

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▼2017春夏ニナリッチのテーマは、夕暮れのサンセット。


コロンビアの首都ボゴタの夕暮れは、灼熱の太陽が沈む時がとてもロマンティック。


それを色に例えるなら、深く光り輝くバイオレット。

内気でナィーブなパリジェンヌが、中南米を旅し、そこで力強く生きる人々から生き抜くことを学び感じ、
強い女性になっていくというストーリーをパリコレクションでお洒落に表現しました。

また、プレコレクションからスポーティーでフェミニンなテイストが引き継がれ、
黒白や黒ブラウン等、太いストライプがとても印象的でシックなコレクションでした。

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2017春夏パリコレクション最後はランバン。


アルベールエルバスが去った後に抜擢された、ブシュラジュラールが、
どのような新生ランバンを見せるのか・・・、パリコレ一番の話題でした。

ファーストルックは、真白のタキシードジャケットのレイヤードスタイル。


まさにマスキュリンとフェミニンを、女性らしくクチュールに特化したブシュラジュラール独自のスタイルで魅せてくれました。

 

左岸の新しいショールームは、以前よりこじんまりしたレトロで素敵な空間。


ランバンのアーカイブを引用したアールデコなパーツや素材が眼を牽きます。

 

WWDのインタビューに彼女は
「服は女性のベストフレンド。
私のランバンは落ち込んだ時でも会えば元気が出る、仲の良い友人のような存在でありたい。」

 

そんな優しい女友達のような、寛大で等身大で、気張らないリラックスしたファッション。


不思議と私も気が付くと何の迷いもなく発注していました。


皆様にもきっとその気持ちは、商品をご覧いただくと伝わると思います。

 

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新生ランバンを担ったブシュラジュラール。


プレッシヤーのなか、真剣な眼差しには優しさと余裕を感じる。

 

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▲フィナーレは投げキッス♡

2017年春夏パリコレクションバイイング終了しました。

パリに行く前から、アジア人を狙って空港からパリ市内のタクシーで強盗があったり、凱旋門辺りには移民が寝泊まりし、
パリは観光客も激減し、治安もさらに悪くなっているとの情報をたくさん聞き、
セキュリティーに対するストレスを抱えながらのバイイングに向かいました。

 

しかし、いつもながらパリコレは盛り上がりを見ており、
ニナリッチやサカイのショーなどは前回よりも混雑を増していました。


ショールームはバイヤーは少し少なく感じましたが、各ブランドのテーマとコンセプトは常に明確で、
新しい春夏の時代に目が向けられた商品が沢山発表されていました。

 

また今回特にパリコレに沸いたのが、新デザイナーのデビューでした。
ディオールは、メゾン史上初の女性のマリア・グラッツイア・キウリを起用。 ヴァレンチノでの実績を買われ「今までのディオールを解放した若々しいコレクション」とプレスの評価を高く得ました。
サンローランは、「アンソニー・ヴァカレロ」。 創業者のイヴ・サンローランと、前任のエディ・スリマンというカリスマデザイナーの後任という期待がのしかかる中でショーを実演した勇気に拍手が送られました。

そして、MATTOTTIの代表セレクトブランドランバンは、
自身の名前を冠したオートクチュールのブシュラジュラールをきっぱりと辞め、エルバースを辞任に追い込んだ
ランバンのオーナーの期待がかかる新生ランバンにその精神をささげる覚悟をしたブシュラジュラール。

初コレクションは、何のしがらみにもとらわれない潔さ。そして彼女自身のキャリアを感じさせる自信。 得意のジャケットスタイルで、マスキュリントフェミニンを見事に表現した神聖なコレクションだったように思う。

そして今回のパリコレで感じたのは、キャリアを積むことの大切さ。

今の仕事に行き詰まりを感じ、転職を続け、常に自分に何が合うのかを探し続ける若者たち。
長く働いていても変化を恐れ、マニュアル化した毎日に満足し、新しいことに挑戦することを忘れた人たち。

 

キャリアを積むということは、一つのことを常に極めていくこと。
そしてそれが常に誰かの役に立っていること。

 

ハイダーアッカーマンは、以前のコレクションで、自分が今まで負ってきた「心の傷」をテーマに、
ずたずたな心をハンドメイドのステッチで表現した。

心の傷は誰にも見せたくないはずなのに、ハイダーはその自身の傷を堂々と商品という形で表に出し、
自分と同じ心を病む人たちに勇気を与えた。
そして来シーズンから、イタリアの名門ブランド、ベルルッティのデザイナーに起用された。彼のキャリアの功績だ。

ランバンの新デザイナーブシュラジュラールは、バレンシアガではニコラゲスキエールにプレタポルテを学び、
ラクロアの元ではオーオトクチュールと出会った。

駆け出しのデザイナーが、ランバンのオーナーに出会うまでの日々は、相当な努力を積んだとはかり知れない。

ショップ経営、バイヤー、スタイリスト、ファッションアドヴァイザーもみな同じ。

いろんな経験があるからこそ、新しいことを切り開くことに何も躊躇しないし、
常に降りかかる難題を解決できる強さがある。

そしてその力が、周囲を力づけていく。

誰にもができることではないかもしれないけれど、誰にでもできることだと思う。

また今日からそういう気持ちで頑張っていける。

一つのことを続けることに何の迷いも要らないことを教えてくれた、今回のパリコレクションだったと思う。

オーナーバイヤー岩高