オリビエティスケンス回顧展
⚫THEORY
2010年~2014年
ニナリッチを去った後、一転、2010年にはアメリカのコンテンポラリーブランド「セオリー(THEORY)」の
新ライン“ティスケンス セオリー(THEYSKENS THEORY)”のクリエイティブ・ディレクターに就任したと聞き、とても驚きました。
(2011年からは「セオリー」のデザインも監修)
パリの高級プレタポルテをモードへと転換させてきたティスケンスが
ワーキングウーマンの服をデザインする…。
それもアメリカ…。
その転身に驚いたのです。
そして4年。
ロシャスやニナリッチよりも長く続けたことも意外でした。
しかし、今回の回顧展では、セオリー時代のコレクションは2体しか展示されていませんでした。
そして、その横にNYコレクションの映像が流されていました。
これは何を意味するのだろうか。
彼の中でこの時代の意味するものはたったのマネキン2体…。
私が思うのは、彼のアメリカでの経験は、自身のクリエイションの幅を広げるとともに、
ビジネスマインドにも影響を与えたのではないかと思います。
彼もファッションがビジネスとして成り立つ事こそ、
これからデザイナーとして求められてるものと充分に学んだのではないかと感じています。
▼セオリーを経た後、細長い通路の向こうに一筋の光が見えました。
それを進むと緩い階段の上に飾られた純白の美しいウエディングドレスが姿を表しました。
ドレスは長い長い裾が美しさを強調していました。
その裾にはティスケンスらしい繊細な刺繍が施されていました。
暫くその白に美しさに目を奪われました。
▼そして、ふと気になったのは、後ろ姿に飾られていた事。
ウエディングドレスは後ろの裾のレーンが一番の美しさを語りますがその理由だけではない気がしました。
この回顧展はティスケンス自らがトルソーに着せ着けたとか…。
後ろ姿のドレスの意味…。
それは「今は既に過去。ウエディングドレスは人生のひとつの節目。そして旅立ち。」彼は既にこの時、
次にやるべき事が見えていたのではないかと、密かにそして勝手に私は感じたのでした。
オーナーバイヤー岩高