外出すら出来ないコロナ禍でデザイナーはどのようにパリコレを実現させていくのか。そして再びパリでは感染が増大している事からパリコレクションは本当に行われるのだろうかと不安でした。
しかし無事、例年とほぼ同じ日程で2021春夏パリコレクションスケジュールが発表されたのです。
ショー会場こそ感染を加速させる密な環境です。リアルショーか、それともデジタルなのか・・・。
ドリスヴァンノッテンは、激しいネオンカラーの中、モデルが体をくねらせた、ショートデジタルショーを行いました。メゾンマルジェラも、ジェンダレスなモデルがグラムスラムを掲げた独自な世界を魅せつつ、AIの世界に住む人類を彷彿させていました。
そんなある意味、洋服が具体的に見えないデシダルショーが届く中、オリヴィエ・ティスケンスは、そのどちらでもないソリューションを選択し見事に新コレクションを発表したのです。
ほとんどのデザイナーは外出すら出来ず、その才能をくすぶらせるコロナを恨むしかないと諦めかけてた現実を見事にクリアし、新しい世界への提案と挑戦を続けていました。パリにいかなくても、パリコレを見なくてもデザイナーの意図が、心が伝わる…。そう確信した瞬間でした。
ではオリヴィエティスケンスの春夏ルックご紹介します。
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以下はファッション媒体による春夏コレクションとオリヴィエティスケンスのコレクションプレビューをご紹介致します。
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繊研新聞
「何かしらの戦略に従う時ではない。自分の思うままにやればいい。初めて誰かにオマージュを捧げるコレクションでもあるので」とティスケンス。コレクションを制作したマレのアトリエで、ワン・トゥー・ワン(1対1)のプレゼンテーションを行った。
テーマは、熱狂的なファンを持つフランス人シンガーソングライターのミレーヌ・ファメール。都市封鎖中にティスケンスが偶然見た89年のビデオクリップ「ロルロージュ」が、彼女のファンだった当時11歳の記憶をよみがえらせたという。少年時代の「女神」を、あの時の感受性と今をリミックスさせ、本人が言う「ティスケニアン」なシーズンに仕上げた。ミレーヌのキャラクターを表すダークなロングドレス、80年代を意識したメンズライクなアイテムで劇場のワードローブのように構成した。ディアボリック(悪魔のような)とアンジェリック(天使のような)の両極で、官能的な美しさを引き出した。
ホックをアクセントにしたタフタドレスは、フラットなバック、腹部にボリュームをもたせ、芝居がかった中世風のシルエット。バイアスカットで流れるようなボディーラインのシルクサテンのドレスもある。テーラードスーツは、たくさんのタックで女性の体が揺れるオーバーサイズ。ボタン一つ合わせのフェミニンなシルクブラウスを組み合わせた。同アトリエでは10月末までポップアップが開かれている。
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WWD
9月2日パリ時間の17:00
「オリヴィエ ティスケンス」は今回アトリエで全てのアイテムを制作。
その後は、「オリヴィエ ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)」のアトリエ兼ショールームにお邪魔しました。今季は、オリヴィエ・ティスケンスが10代の多感な時期に自身の美意識に大きな影響を受けたという、歌手ミレーヌ・ファルメール(Mylene Farmer)へのオマージュ。
歌手ミレーヌ・ファルメール(Mylene Farmer)
ただ、「それぞれのルックのインスピレーションになった曲や写真が分かるのは、僕みたいな本当にコアなファンだけだと思うけどね」とオリヴィエは笑っていました。
そして、このコレクションは新型コロナウイルスの影響により、パターンや裁断から縫製まで全てアトリエで行い、完成させたそうです。ちょっと驚いたのは、彼がコレクションのデッサンを全てiPadで描いていること。数年前にアントワープで開催されたオリヴィエの回顧展で紙のデッサンをいくつも見ていたので、時代の変化を感じました。
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ZOOMによるリモートオーダーのアポイントは8日8時半~です。
またその様子を報告しますね。
オーナーバイヤー岩高