マトッティの顧客に最も愛されていたランバンの元デザイナーアルベール・エルバスが他界した。
●つい先日、お客様との会話で
「ランバンの服は好きだったわ。岩高さん、あんな素敵な服はもうないの?…。」
●そして先週、ラインで今日着てるご自身の画像を送ってくるお客様
「見て!このネックレス懐かしいでしょ。」
私「それランバンのネックレスですね。素敵です。」
●一昨日ランバンを着てこられたお客様、
「随分前のランバンのジャケットなのに、着てたらすごく誉められたの。」
と、皆様口を揃えて語り続けていた矢先でした。
写真は18年前の、2003年の私の初版「セレクトショップバイヤーへの道」に掲載したパリのランバンの展示会の貴重なショット。
まだ小さなショールームに数ラックのサンプルが並んでいた小さなコレクションでした。
私はいつもデザイナーに敬意を拝すべくデザイナーの服を着ていくことにしており、この日はランバンの白のベロアのコートを
椅子に掛けていたら、それを軽く触ってにっこり(有り難うと言って)してくれた優しい彼を今もはっきり覚えています。
ビジネスにおいても、アルベールエルバスがサンローランのデザイナーだった頃からずっとマトッティのセレクトに入っていました。
彼がランバンを去ったときも、次はどんなブランドで私を楽しませてくれるのかしら…とひたすら彼の復帰を待ち望んでいました。
セルジオロッシ、タカダケンゾー、カールガーフェルド、ピエールカンダン…と、近年、マトッティで取り扱っていたデザイナーが次々とこの世を去っていきそしてエルバスが…。素晴らしき才能がまたひとつ失われたことに悲しみがこみあげます。
親愛なるエルバス。
彼への感謝と敬意を捧げます。本当に有り難う。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
●WWD
アルベール・エルバス(Alber Elbaz)が24日、パリのアメリカン・ホスピタルで死去した。59歳。
彼のベンチャー事業、AZファクトリー(AZ FACTORY)のパートナーであるコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE
FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)が発表した。同社によると、死因は新型コロナウイルスよるものだという。
ヨハン・ルパート(Johann Rupert)=リシュモン会長は声明の中で
「同僚だけでなく、最愛の友人を失った」と述べ、エルバス氏の突然の死に対する衝撃と悲しみを表した。
エルバス氏はモロッコ生まれの、イスラエル育ち。1980年代半ばにニューヨークに移住し、ブライダル会社を経て、
ジェフリー・ビーン(GEOFFTEY BEENE)社に入社。シニアアシスタントとして7年間勤務した。
96年に「ギ ラロッシュ(GUY LAROCHE)」に入り、その才能が注目を集め、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)の後継者として
「リヴ・ゴーシュ(RIVE GAUCHE)」を引き継いだ。
しかし、3シーズンでグッチ グループ(GUCCI GROUP、現ケリングKERING)の傘下に入る。
その後「ランバン(LANVIN)」で眠れる森の美女、オートクチュールブランドを見事復活させた。
その後「クリツィア(KRIZIA)」も手掛けた。
オーナーバイヤー岩高